<不在>


アジアの
大草原に降った雨が
海亀の背や
母親とはぐれた子と男の子とはぐれた犬と
日常とはぐれた詩人と愛する男とわかれた女を濡らして
僕の庭を過ぎていった

と想像しながらタバコを吸っている僕は
体ごと窓の闇へ吸われそうで
昼間に溶けたアスファルトに写ったベトナムの海から
ビルマ(ミヤンマー)の「水島さん」まで
知らない間に名前が変わってしまっている彼女
を思い出しながら
月夜の窓に
恐る恐る首をだして
恋と冒険はしないと決めた

でもそんな僕でも
毎日会社へ出勤して
僕とはぐれた犬を捜している
(場違いかな)