<男>
胃液をそのにがさで
もどすように
かがみこむとき はじめて 戸口から家族の食卓の位置がみえる
僕の弱さから
敷居が高くなり
屋根の上には
母の夕やけがいちめんにめぐっていて
僕は吐いたものをしかたなく埋めはじめる
僕の胃に入ったものが僕自身に拒否される
僕の代々の墓は その決められた位置で
貧乏であると母がいう
うすい目をあけると
僕の目には精一杯のしきいをめぐらし
しまつの灯をつけて
家には
それぞれの位置で
水にうつっているような家族がいる