<霊仙>


ザックをかついで
どうしてこんな重たいのをと思いながら
下山まで生きるために必要なものだけを持って
霊仙にいく

樹木は黙って生きている
僕の重量がどれほど木の負担になるのか
確かめながら
重いザックに振られないように
滝をまいて登る

もう眠ろうとしている
山頂付近に着く
風を避けて避難小屋のよこにテントを張る
登ってきた紅葉樹林をみおろし
コッフェルに湯を沸かして
仕事のことを考えている僕は
いま静かな生命にかこまれて
僕を捨てにこんな遠くまで来たのだと思う